ハニー★カム:日誌

ぱちりとした写真やのんびりまったりその日の一言

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「おさみこスタート~気づかなくとも、罪に罰~」

※7/20の青春カップ14のエア新刊です。

エアですが

■「おさみこスタート~気づかなくとも、罪に罰~」
A5/全部打ったらたぶん54Pくらい。

■オサーム様(高二)の恋が終わって、瞳子監督の恋が始まる話。

■本文サンプルは、続きよりどうぞ。









 掴んで見たのは、虚ろな星で。
 クレーターさえ、轟かせ。
 響いているのが、六角形。
 正多角なら、合同だった。

 【1/パーティーしたなら、正義の扉】

 好きな人にフラれました、ちょっと話を聴いて下さい、と開けっ放しだった和室の襖を背にしたままに、彼が乞う。

 ストン、と吉良邸の和室の中央に設置してあるテーブルの手前に座して、あのですね、そのですね、せーの、で泣いても良いですか、と酷く時間を掛けて問われたので、どうぞ、と素っ気なく返した。
 和室のテーブルに付いている砂木沼治の上半身が、ガコン、とテーブルの盤に突っ伏してはその額がつるつるとしたそれにキスをしたので、ぱちり、と吉良瞳子は瞬きする。
 ぼろぼろ、と世界と日本と宇宙と稲妻町に自由落下する水滴が徐々に彼の膝を濡らして、う、と嗚咽を堪えている喉が苦そうで、やれやれ、と私は溜息をするのだ。
 額ばかりを和室のダークブラウンのテーブルの盤に触れさせて、それだけで大層重量のある頭部を支えようとしている彼の真っ赤な眼球は綺麗に磨かれている盤の表面とは相対せずに、自らの胡座の足を睨む。
 彼は、元々がなかなかにレッドに見え得る光彩を閉じてはおらずに、ぐ、とどうにもこうにも自分自身の中身を堪えているらしい声を発しては、世界と日本と宇宙と稲妻町に絶望しているのかも知れなかった。
 取り敢えず、俯いている隙だらけの背中に肘でも入れようかしら、と極々自然に当然に思考してしまう吉良瞳子は特別格別悪の大魔王ではなく、曲がりなりにも青少年の味方である筈の立場なのだ。
 まあ、正義のそれであるのだかは判断が難しいところだけれど、と胸の手前で両腕を組んでは、はてさて、とホワイトのカッターシャツの袖を見据えれば、半袖の切り口までもが何だかしょんぼりとしているみたい。
 普段であれば、もっとピッ、としたしゃっきりとはっきりとした、多分に懇切丁寧にアイロンでも掛けていそうな制服のシャツさえもが彼の落ち込んだ様相を彩っているので、ああ、ひょっとして世界の終わりでも来るのかしら、とほとほと不可思議になる。
 吉良瞳子がのんびりとまったりとした時間をここ稲妻町の端っこに位置している吉良邸の一室で過ごしていた間に、同じ色で繋がっている空を天井にしている空間全てが、終焉であり終演するとの知らせでもあったかしら、とテーブルに乗せられていた新聞の朝刊の一面を捲った。

 バサリ、とテレビ欄が表になっていた紙面をひっくり返しても、見出しの限りでは、世界も日本も宇宙も稲妻町も、どうやら久しく平和そう。

 数年前に、漆黒と白色で完成している球体を用いて、世界を征服しに襲来した地球外生命体が蔓延っていた時分とは偉い違いだわ、と半分を苦笑で、残りの半分をちょっとした切なさで邂逅する吉良瞳子は、元宇宙人の横顔を見やった。
 うねうねとした波とそっくりな彼の真っ黒な髪は今日のこの日もギュッ、と後頭部の斜め上で結ばれてはいたけれど、カッターシャツの袖の切り口と同じ位にはしょげていそうなその髪先は、常日頃よりもずっと跳ね具合が大人しいみたいだ。
 物凄いくせっ毛なのが面白いのに、と飄々とした感想と感情と感慨とを抱えたままに、ガクリ、と大層前傾姿勢で吉良邸の和室のテーブルに突っ伏している体躯を見詰めたら、別段泣きじゃくっている訳でない頬がある。
 数日前に稲妻町は梅雨明けをしたばかりで、本日の雷門の空はとてつもなく七月中旬らしい、ピカピカ、とした日差しを届けていたのに、彼はその涙でまだ吉良邸内の湿度を上げたいのかしら、とほとほと不思議になった。
 土砂降りでもないみたいだけれど、と一メートル程の距離を保ったままにじんわりとした水滴を目尻に溜めているらしい姿に目線を投げたら、吉良邸の和室と接している縁側の盤が、キラリ、と美しくも夕暮れ空に瞬くみたいだ。
 せっかくの夏らしい綺麗な空気を所持している夕焼けなのに、と斜めにオレンジ色と深紅と薄紫がぐるぐると蜷局を巻いているような夕陽の落ちて来た吉良邸の中庭を視界に映したら、何ともかんとも傍にある青少年が辛気くさい気がしてしまう。
 もう、夏休みだって始まるのに、失恋なんてものは、真夏よりも寧ろ初秋が似合うのじゃあないのかしら、ととんでもない摩訶不思議は私の中に幾らだって溢れて来るから、ねえ、砂木沼君、私ね。

 唐突に突然に、バアッ、と起き上がった男の子を見据えては、やれやれ、と何度でも溜息してしまいそうなのよ。

 ***

「…………」
「…………」
「来週から夏休みなんですよ、夏本番ですよ、恋の季節ですよ!」
「そうねえ」
「…………」
「…………」
「勉学とスポーツと、加えて恋愛にも充実した一ヶ月半を過ごす予定であった物を!」
「予定は未定、って言うじゃない」
「…………」
「…………」
「これを見て下さい!」
「何?」
「…………」
「…………」
「書きましたよ、書き出しましたよ、夏期休暇の間の行事を片っ端からです!」
「几帳面ねえ」
「…………」
「…………」
「花火大会に、海にプールにバーベキューに、動物園と遊園地で行われれるイルミネーションがですね!」
「砂木沼君、どの日も、夕方までサッカーのグラウンドの名前しかないけれど」
「…………」
「…………」
「それは保持です、サッカーは私の全てですから!」
「花火大会は?」
「…………」
「…………」
「行きます、行くつもりです、何しろ夏の醍醐味ですから!」
「いつ勉強するの?」
「…………」
「…………」
「夕刻までのサッカーの練習と用事が終わって戻ったらやります、やりますとも!」
「貴方、長期休暇の夜は、良く吉良邸の和室で転がっているけれど、お日さま園の幼児の子みたいに」
「…………」
「…………」
「済みません、気絶しました、数回ですよね!」
「そうねえ、一週間の内七分の五位だったわよ」
「…………」
「…………」
「それは、失礼しました!」
「別に、構わないけれど」
「…………」
「…………」
 そんな私の完璧なる計画が、とギュウ、と握った彼の右手はとんでもない握り拳で、ぶるぶると震えるそれはこれっぽっちも己の正義を疑っている素振りがなかったので、ほとほとの摩訶不思議が込み上げた。
 良いのじゃない、デートに掛けるつもりだった時間に勉強したら、と淡々と言葉にして見れば、花火大会とプールと海はどうするんですか、と恐ろしくも酷く苦そうな声音ばかりが和室の空気を席巻する。
 それも良いのじゃない、吉良邸の皆と一緒に行ったら、昨日の夕飯の時に皆で相談していたわよ、と誓って決して嘘でも虚実でもないそれを彼の手前に並べて見れば、中学生ですか、と吐き捨てる、一昨年までは中学生だった唇。
 そうねえ、中学生よりも余程小学生みたいかしらね、と日々の喧嘩は絶えないものの、結構なところで仲は悪くはない元宇宙人達の現実と事実と真実とを吉良瞳子は指し示す。
 真夏にですよ、男と女が二人で出掛けるからこそ特別な意味があるのじゃあないですか、とどうにもこうにも可笑しな論理展開を繰り広げている彼に、何だか花火とプールと海の現実で事実で真実を諭したくなった。
 まあ、どれだけ言っても聴かなさそうだけれど、とこっそりとひっそりと真っ赤な光彩に気付かれない様に控えめに息を吐き出したら、大体、どう言うつもりなんですかね、余りにも思わせぶりなのじゃあないんですかね、どう思いますか! と叫びを上げられたので。

 単に、単純で思い込みの激しい男の子が勘違いをしていただけなのじゃない? と吉良瞳子は結実だって述べてしまうのだ。

(が、と歪んで引き釣った頬が偉く傷付いた色をして、彼の目尻にはまた水滴だって浮かんでしまった)





 笑い出したら、その袋。
 隠して開いて、貴石の全て。
 シャラリ、と石が弾けて見れば。
 道標さえ、白いそれ。

 【2/悪魔の壷が、サティスファクション】

 大体、どう言うつもりなんですかね、余りにも思わせぶりなのじゃあないんですかね、どう思いますか! と砂木沼治は絶叫をする。

 その勢いのままに、ガチャン、とグラスを放り投げそうになれば、砂木沼君、今は麦茶だからまだ良いけれど、成人したら酒癖が悪そう、嫌だわ、と容赦のない唇と頬。
 きっ、と彼女を遠慮もなく睨んでしまったら、倒れたグラスと氷とを片付ける掌が新しいグラスに綺麗なライトブラウンのそれを注いで、はい、と差し出す。
 どう言う了見なんだと思いますか、とぎろり、と多分に座った真っ赤な目で尋問すれば、そうねえ、と小首を傾げる頬が、単に、単純で思い込みの激しい男の子が勘違いをしていただけなのじゃない? と、ただただ淡々と恐ろしい科白を口にするのだ。
 が、ととんでもなく頬が歪んでは引き釣り、気恥ずかしさと苦々しい胸中で情けなくも目尻に水滴が浮かびそうになれば、やれやれ、とでも一言で青少年を切って捨てそうな綺麗な横顔が私の目の前にある。
 ほとほとが摩訶不思議だ、と言わんばかりの表情と、なぜそれが理解出来ないのかしら、とでも言い放ちそうな吉良瞳子は、常日頃の仕草や風体とはこれっぽっちも変化も変遷もなかった。
 同居人と括ってしまうには大層因縁と関わりのある、どちらかと言うと家族に近しい存在の傷心には只の一つも興味がないらしい彼女は、いつでもどこでもどんな時でもこんな調子だ。
 さらり、とした癖のない、飾らない青い長い髪が動揺したり慟哭したりしたのは最早数年前の話であって、漆黒と白色とで完成している球体で持って世界を征服しにやって来た地球外生命体と相対する為に、青い屋根と車体をした中型バスに乗り込んでいた際の彼女を回想した。
 それでも、青と黄のユニフォームの十一人を率いていた彼女はさほど驚愕はしていなかったな、と普段から冷静で理知的で聡明である姿を睨んでしまえば、はてさて、と首を傾げる体躯は当時と比較するのであればその表情は柔らかい。

 そうと気付いてしまったら、傷心で心配一つして貰えないこの身がどうにもこうにも軽んじられている感触がした。

 まあ、それこそが誰かに、何か一つに執心はしないのだろう彼女の性格で性質で本質であるのかも知れなかったけれど、それにしてもな、とじんわりと眼球を覆う手伝いをしようと企んでいる涙を振り払う。
 何たるドライ加減だろう、と特別格別、私は彼女に共に涙を零して欲しい訳でもないのに、とてつもなく何を求めているのだろうか、とふと自らに疑問と質問と設問だった。
 我が身と一緒に、ウエットになって欲しいと心底希求している筈もない砂木沼治は、予想するに予測するに推測するに、吉良瞳子に世界と日本と宇宙と稲妻町に於ける客観的な意見を求めているのだ。
 どれだけの文句と批判と悪口雑言を並べて見ても、なぜだか彼女は、ふうん、だの、そうなの、だのとそれはそれは淡々と相槌を打って、どう思うか、と問われた刻にのみ端的に返答をする。
 但し、その科白はとんでもなく的を得た物である事が多いので、これっぽっちも歯に絹着せない彼女の言葉は青少年の心臓と肺とに突き刺さり、私の内臓はぐさり、とまるで矢でえぐられているかの如くにダメージを負った。
 ぐりぐりと回転する動きを持ったそれではなく、ドスン、とこの身を貫いていそうなそれだ、と真っ赤な目を細めてしまえば、もう少し哀れな青少年に優しくしてくれても良いのではなかろうか、と頬が歪む。
 然し、依怙贔屓をしたり、相手に依って態度の豹変しないそれこそが彼女らしいとも私は既知であるので、むむむむ、と何とはなしに繰り返して唸ってしまうのだ。
 何たる正義であろう、とひしひしと吉良瞳子の言動に感心して感嘆しながらも、それでも彼女が吉良邸で衣食住を共にしている面々の言葉を聞き逃さない様にしているのはかなりの所で美徳である、と頷ける。
 砂木沼治なぞ、高校に入学してからどれだけの相談と言う名の(男らしくないのだが)愚痴に近しいそれを彼女に投げてしまったのだろう、とほとほと大仰に大袈裟に溜息する夜半も一度や二度ではなかったけれど、だが然し、である、と心が苦かった。
 普段からきりり、とした外見で、宇宙の真理と下らなさそうな訴えに自らの意見を述べる彼女は、厳しいだけはなく実は偉く優しいのだろう、と砂木沼治は判断もしていて、ああ、瞳子監督、私はですね。

 愚かな青少年は、今日のこの日も貴女に乾燥気味の音に諭されては涙を拭いたいんですよ、と告白しそうなんです。

 ***

「…………」
「…………」
「一体全体、どうと思いますか」
「そうねえ、何が思わせぶりだったのかしら」
「…………」
「…………」
「手を繋いで来たりだとか、突然抱き付いて来たりだとか」
「ふうん」
「…………」
「…………」
「キスをしよう、だとか、男を何だと思っているんですかね」
「ああ、成程ね」
「…………」
「…………」
「何ですか」
「難解で生真面目で堅物な男の子が落ちるかどうかを、試されていたのじゃあないのかしら」
「…………」
「…………」
「な!?」
「違うかしらね」
「…………」
「…………」
「ど、どう言う了見ですか」
「さあ、知らないわよ、私はその相手じゃあないし、解釈の相違かも知れないし」
「…………」
「…………」
「が」
「どう?」
「…………」
「…………」
「あの」
「うん」
「…………」
「…………」
「あの、ですね」
「うん?」
「…………」
「…………」
 もう、女は信じられません、と恐ろしく歪んだ頬がとてつもなく引き釣っては目尻に水滴が浮かんでは、本気にするだろうが、とついぞ、ポツリ、と苦く呟いてしまえば、ぱちり、と彼女は瞬きをする。
 別段、慰めの動作で頭を撫でたりだとか背中をポン、と軽やかに叩いたりだとか、そう言った仕草は垣間見せずに、とんでもない摩訶不思議と対しているらしい彼女は、別段笑んでも涙してもいなかった。
 じゃあ、これからは男を信用して生きて行くしかないわね、とあっさりと言葉にする口端だけは大層苦笑しながらも僅かに吹き出しそうで、それでも、別段年下の体躯を馬鹿にしている様には感じられないのは、男の愚かな錯覚だろうか。
 私の手元で微かに握られている背の低いグラスには二、三の長方形の氷をそれをゆらゆらとたゆたわせているライトブラウンの海があるので、はああ、と大きくて深い息を吐き出しながらそれを喉へと流し込む。
 ゴクリ、と喉を鳴らしては私の口中と舌とを通って進んで行くその液体はなかなに冷えていて、ちょっと落ち着きなさい、と無言で訴えられている気分になり、やれやれだな、と自らに溜息を。
 然し、なぜこの液体は苦くないのだろう、とほとほとほ不可思議を抱えている私は、麦茶は苦みを伴ってはいない飲料であるのだと理解はしていたけれど、状況や環境や体調に寄って味覚が変化するのを既知でもあるので、はてさて、と首を傾げそうになるのだ。

「…………」
「…………」
「砂木沼君は惚れっぽいから痛い目を見るのじゃあないのかしら、もう少し、慎重にして見たらどうなの」
「別に惚れっぽくはないですよ、誰でも良い訳でもないですし」
「…………」
「…………」
「あら、じゃあ、どんな女の子が好みなのかしら」
「はあ」
「…………」
「…………」
「高校生になってからのこれまでの話を統計して見ると、可愛らしい女の子が多い気がするけれど」
「はあ、そうですかね」
「…………」
「…………」
「サッカーをしているところが格好良い、とか言われて喜んでしまっているんでしょう」
「違います!」
「…………」
「…………」
 常日頃と変わらない口調で青少年を諭す彼女は、くすり、と頬を持ち上げて、語気を荒げたりたった一つの現実で事実で真実を求めているのでもないらしく、柔らかく一つの例えを私の手前に並べた。
 違いますし、ととんでもなく目を細めてはとてつもなく心外な胸中で頬を歪めて見れば、目の前の不思議そうにする頬と首を傾げる瞳は只の一つも熱っぽくはない。
 誓って決して違います、と握り拳で否定をしたけれど、くすくす、と綺麗な頬は綻んだままで、青少年を半分は呆れて、残りの半分を何らかの気持ちで判定しているらしく、それは何だろうか、と知りたくなった。
 ああ、ここ吉良邸で衣食住を共にしている関係上、家族に近しい間柄であるからこその、皆仕方がないわねえ、と言った彼女の投げやりではない許容範囲の広いそれであろうか、とふと瞼の裏に閃く。
 立派だな、と心ない言葉で片付けてしまうには彼女のそれは、偉く柔軟で何らかの事象で事柄を拒否しないので、ああ、だからこそ、吉良邸の一筋縄で行かない面々も彼女には口を開くのだろうか、と何とはなしに納得をした。
 成程、年上で成人しているとは言えども、出来た人である、と頷いてしまった刹那に、唐突に突然に可笑しな科白が手渡されるので、青少年はまたもや絶叫してしまったけれど。

 ああ、嬉しくなって迫ったりしたんでしょう、ととうとう吹き出した頬に、だから違いますし! と叫びを上げた。

(ビリビリ、と吉良邸の縁側に面している和室の障子が震えて、彼女はくすり、と楽しそうに笑った)


~以下、「おさみこスタート」3話以降に続く~




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