ハニー★カム:日誌

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「オサミコシトケンキュウジョ~きみをしんじてたたかって~」

FFF4合わせのジェネシス戦後篇ですが、素敵に綺麗に刷り上がってきました!

ジェネシス戦後篇表紙

■「オサミコシトケンキュウジョ~きみをしんじてたたかって~」
A5/56P
表紙イラスト:【MATHEMATICA】 西野ムギ様
(【ハニー★カム】ファーストページよりどうぞ)

■エイリア学園ジェネシス戦直後のデザーム様(中身はもうオサーム様)と瞳子監督の話。

■本文サンプルは、続きよりどうぞ。




【画期的アルタイル】~「オサミコシトケンキュウジョ~きみをしんじてたたかって~」 1話より~

 春から夏へ、夏から秋へ。
 秋が冬へと、変わるのならば。
 クルリ、と世界が変遷したら。
 雪も溶けては、流れるだろう。

 ガラガラ、と崩れて行く建造物の真上には星屑があり、キラリ、と願う様に降る星もある。

 流星だ、と紫色ではないその魂みたいな塊を見上げてしまったら、その色が誓って決して真紅であったので、ホッ、と吉良瞳子は安堵の息を吐いた。
 漆黒と白色で完成している球体で持って、世界を征服しにやって来た地球外生命体だ、とそれはそれは芝居掛かって口上して見せた小さな体躯達を遠方に見やりながら、キシリ、と酷くこの胸は軋むみたいだ。
 ジェネシス戦後に爆発して倒壊した星の使徒研究所跡には、未だにガラガラ、と小さな瓦礫が落下していて、もう、ここが富士なのだかどうなのだかも判然としない。
 建造物としては大層背が高くて大仰で大袈裟な、まるで一昔前の宇宙人が来訪する際に乗り込んでいたかの様な真っ白でフワリ、と浮遊していそうな円盤を模したそれは、ガラリ、と崩れてしまい見る影もなかった。
 自分自身の視界の中一杯に席巻されては広がっている景色で景観が、どうにもこうにも常日頃の吉良瞳子の水晶体と光彩に映される像とは異なるので、これは映画かドラマの舞台装置なのかしら、と訝しくなる。
 何て馬鹿馬鹿しい、と目尻に涙が浮かびそうに唇を噛み締めてしまっては、ああ、それでも、これが現実で事実で真実だ、とひしひしとこの胸中は理解をしていた。
 ガラリ、と可笑しな装飾の付された建造物の外観は既にその形を保ってはいなかったので、目の前に展開している場面が世界と日本と宇宙と稲妻町に内包されている物体なのだかが怪しい気持ちになるのだ。
 だって、ほら、とスイ、と百八十度を振り返ってしまったのなら、恐ろしい程に深い緑と濃い茶色の葉と枝の海が広がっているじゃない、と目を細めてしまえば、吉良瞳子の正面と背後にある世界が異色過ぎて、ああ、と唸りそうになる。
 まあ、第一、私が向かい合っている緑のそれだとて、綺麗な深い森ではなくて恐怖の緑の深淵の樹海だ、と一つを頷いてしまってから、クルリ、と体躯を反転させて白と灰色と黒の瓦礫に対した。
 ああ、終わったのは只の一つの事象で事柄であって、何もかもはこれから、と偉く気付いては唇を噛み締める。

 延々と泣いている時間もないのね、と小さく零してしまえば、やつれましたね、と背後に苦笑された。

 そうかしら、とずっとずっとずっと素知らぬ振りをし続け様かと思考していた相手に声を掛けられたので、可笑しな格好、と科白を付け加えては目を細める。
 そうですかね、結構似合うのじゃあないのかと自負していますが、ととんでもなく苦そうな口端で言葉を綴るのが、漆黒の波の如くのうねりを持った髪をグルリグルリ、と首に巻き付けている体躯であったので、はあ、と軽く息を吐いた。
 ブラックのユニフォームにホワイトのラインを付して、加えてパープルのキャプテン章を左上腕に張り付かせた真っ赤な目が私に目線を投げては苦笑いをするので、苦笑をしたいのはこっちなのだけれど、と頬が引き釣りそうになる。
 ストン、と薄いグレーの大きな瓦礫の上に座している体躯が、イナズマキャラバンで日本を縦断している間、余り食べていなかったのじゃあないですか、と青い屋根と車体をした中型バスの乗組員の心配をした。
 あら、雷門の食生活と栄養管理は立派なものよ、選手の体調管理に含まれる事項だもの、とつらつらと主張してしまえば、はあ、そうですね、と窪んだ真っ暗闇の如くの瞳が口端を持ち上げるので、第一、それもこっちの科白だわ、と目を細めそうになる。
 むしろ、デザーム君達の方はどうなのよ、宇宙人の方は、栄養がとてつもなく偏っていてそんな目付きになっているのじゃないの、とうんざりとしてエイリア学園ファーストランクチームのイプシロンを名乗っていた彼に問うてしまったら、あれ、嫌ですね、もうその名前での芝居は終わりですよ、以前の様に、治と呼んで貰って良いですよ、といけしゃあしゃあと発する唇があった。
 誰が治よ、とほとほと呆れ返って大きくて深い溜息を付いてしまって、砂木沼君のチームの皆はきちんと食べていたの、とその点だけは心底懸念で持って、真剣に真摯に音にする。
 ああ、心配無用です、サッカーは体力を消耗しますからね、食べないと直ぐに動けなくなりますよ、とニヤリ、と持ち上がった口端がイプシロンの食糧事情に対して自信満々であるらしいので、そう、と胸を撫で下ろした。
 まあ、固形だったり液体だったり、真空パックされている栄養ばかりがバランスとして素晴らしい物でしたがね、と真っ赤な目と真っ黒な目が自嘲でも風刺でもなく、ただただ結実を唱えるので、ああ、と吉良瞳子は自らに。

 何て事、と喉の奥と気道と繋がっている先の肺がキシリ、と歪んで行きそうな音を聴くのだ。

 ***

「…………」
「…………」
「でも、それもイプシロンが雷門に敗北して、ダイヤモンドダストに消滅させられるまで、でして」
「え?」
「…………」
「…………」
「負けてしまったのなら、イプシロンはどこにも出られませんからね、もう、世界が退屈で退屈で退屈で、私など、いっそ昏倒するかと思いましたよ」
「あの」
「…………」
「…………」
「宇宙飛行士や船舶員の気持ちが、酷く良く分かりました」
「何?」
「…………」
「…………」
「イプシロンはですね、ああ、まあジェミニストームもそうでしたが、篭の鳥、否、篭の中の宇宙人だった訳ですよ」
「あ」
「…………」
「…………」
「日本政府やマスコミや、イナズマキャラバンの人員に見咎められると、これが厄介ですからね」
「そう、でしょうね」
「…………」
「…………」
「その為に」
「ええ」
「…………」
「…………」
「私達には、楽しみは一つしか残されてはいなかったのです」
「え」
「…………」
「…………」
 時間が一日中ありましたからね、衣食住を保証されている地球外生命体とは言え、それは自称ですから、衣服と行動が制限されてしまう以上、残されていたのは食だけでして、断固として抗議しましたね、栄養価の高いだけの真空パックされている食品で生きていける物か、と絶叫です、とそれはそれは威風堂々と発した漆黒の波とそっくりのうねりが大層立腹しているので、パチリ、と私は瞬きをする。
 まあ、生きては行けるのですけれどね、ととんでもなく頬を歪めた彼が、どうやらエイリア学園のデザームではなくお日さま園の砂木沼治の表情を取り戻しているらしいので、どうしてなのだかこの胸中がフワリ、と安心をした。
 然し、イナズマキャラバンに敗北をした宇宙人が、食への執着による精神崩壊を起こしては不味いのだろう、と星の使徒研究所の研究員を説得しまして、まあ、正確には論破ですがね、地球外生命体でありながらも地球人らしい食材を入手した訳です、と延々と口上を続けている唇は特別格別色が可笑しくはないので、ああ、と吉良瞳子は一つを頷くのだ。
 それからは、もう、毎日が大忙しですよ、何しろ人数が多いですからね、イナズマキャラバンと戦闘中であった、ダイヤモンドダストやプロミネンスやジェネシスのメンバーの中には、真空パックのメニューで良い、と言い張るのもいましたが、所詮奴等は成長期の中学生ですからね、あっと言う間に陥落して、それ見た事か、と面白かったですよ、と彼が言葉を綴ってはニヤリ、と笑う度に、キシリ、と私の胸は軋むらしい。

「…………」
「…………」
「因みに、今、私はとてつもなく怒っていまして」
「ええ」
「…………」
「…………」
「先刻までの、ジェネシス戦ですが」
「ああ、うん」
「…………」
「…………」
「どう言う事ですか、あれは」
「あのね」
「…………」
「…………」
「何ですかね、あの試合は」
「ああ」
「…………」
「…………」
「全く持って、不甲斐ない奴等ばかりですね」
「砂木沼君」
「…………」
「…………」
「後、十五分だった物を」
「え?」
「…………」
「…………」
 今宵は、豚肉のガーリックマスタード焼きとオクラと山芋の塩だれ合えと、にらとカニかまの卵スープだったと言うのに、とその大きな掌を握り締めてブルブル、と震えそうな拳にしている彼が、どうやらふざけているのではなさそうだったので、私は繰り返してはパチリ、と瞬きをする。
 延長戦にさえ持ち込んでくれたのなら、完成したのですがね、ととてつもなく苦い頬と眉根を寄せた眉間で持って、彼は正々堂々と音にした。
 全く、一時の勝利の晩餐でも良かった物を、研究所が爆発四散するとなれば、脱出するしかなかろうに、あの料理を放り出さねばならないのがどれだけ無念だった事か、と科白にする砂木沼治は、呆気に取られている私をチラリ、と見やって、まあ、転機ではありましたがね、と声にする。
 ガラガラ、と際限なく崩れて行く瓦礫に座り込んでいた彼は、ユラリ、とその体躯を持ち上げて、スラリ、と膝の裏を伸ばしては立ち上がり、腹が減っては戦も試合も出来ませんし、立腹し易くなりますからね、良い事はありません、とその唇と喉と顎とを動かして。

 スイ、と少しだけ長い腕を差し出しては、帰りましょう、瞳子さん、と赤い瞳で呪文を唱えるのだ。

(ああ、彼の背後に降る赤い流星とそっくりだ、と思わず願いを掛けそうになった)

~以下、「オサミコシトケンキュウジョ~きみをしんじてたたかって~」 に続く~





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