ハニー★カム:日誌

ぱちりとした写真やのんびりまったりその日の一言

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「Nの法則~宇宙イチまでひとっ飛び!~」

青プ11合わせのネオジャパン篇ですが、刷り上がってきました!

ネオジャパン篇表紙

■「Nの法則~宇宙イチまでひとっ飛び!~」
A5/54P/表紙フルカラー/本文モノクロ
表紙イラスト:【MATHEMATICA】西野ムギ様(【ハニー★カム】ファーストページよりどうぞ)

■オサーム様と瞳子監督のネオジャパンの時の話。

■本文サンプルは、続きよりどうぞ。








~「Nの法則~宇宙イチまでひとっ飛び!~」1話より~


【来訪したのが、エイリアン】

 星の使徒なら、半年は前。
 記憶は明るく、低迷をして。
 忘れやしない、その瞳。
 真っ赤なそれは、濁らなかった。

 ええと、何と言う名前だったかしら、と吉良瞳子は、ほとほと謎に対して首を傾げた。

 確か、とんでもなく珍しい、難しい音をした面白い名字だったわ、と思考しながらジッ、と彼を見返してしまったら、どうにもこうにも薄暗い雷門の空を背負い、彼は目を細めている。
 春先の天気の変わり易い薄曇りの上空が、あっと言う間に薄闇と紺色を混ぜ合わせてしまったかの様に曇天から水滴を落下させたので、ああ、吐き出しの窓ガラスを閉めなくちゃあ行けない、とこの胸中は懸念していた。
 とてつもなく何かを思い詰めている、それはそれは真剣で真摯な表情が恐ろしくも怒り出しそうでなければ泣き出しそうなので、過去の彼は笑っている回数の方が多かった気がするけれど、と自らの記憶を邂逅する。
 それとも、私の脳内と胸中に刻まれているそれと瞼の裏に張り付いているそれとが不整合であるのかしら、ととんと不可思議で持って自らを訝しんでしまったら、ザアッ、と彼の背中側で強い雨が降りしきった。
 まるで漆黒の波の如くのうねうねとした流れを頭部の斜め上でギュッ、と結んでいる彼が、随分と生真面目な姿勢と態度で、児童養護施設の一つであるお日さま園の玄関で佇んだので、はてさて、と私の心は摩訶不思議だ。
 半年程前に、漆黒と白色であったり、白色の代替で真紅のユニフォームに袖を通していた地球外生命体が唐突に突然にバッ、と頭を垂れたので、うねうねとした彼の髪がお日さま園の玄関で踊る。
 いっそ呪いの言葉みたいな正義の呪文みたいな一言で己の心を表現した彼を、残念ながら、吉良瞳子は何と呼ぶのだか既知ではなかった。
 見紛う事なく、目の前の体躯は漆黒と白色で完成している球体を用いて、世界を征服しに襲来した宇宙人の内の一人であったのだけれど、彼は大層短く発した希求以外には望みがないらしく、それ以上は口を開きはしない。
 ああ、ひょっとしたら元々は寡黙なのかしら、と多分に威風堂々とした演技と振りとを行っていたのだろう、エイリア学園ファーストランクチームのキャプテンを視界に映したら、彼の左上腕が空っぽであるのに気が付いた。

 あら、ユニフォームでもないじゃない、とはたとして、パチリ、と私は瞬きをする。

 偉く不可思議だ、と律儀に頭を下げたままの彼の体躯を見返していたら、開け放したままとなっている横開きの玄関の扉の向こう側では、バラバラバラ、と酷く大粒の雨粒が舞っていた。
 やはり春先は急激に冷え込んだり急速に発達する雨雲が多いものね、と彼の体躯越しに雷門の空を見やってしまえば、刹那、ポツリ、と彼の足元に水滴が一粒落下する。
 ああ、風邪をひいてしまうじゃない、とどうしてなのだか雨の降りしきる中来訪した彼を眼下に目線を投げたら、ポトリ、ポトリ、とその頭部が作っている影が水で楕円を描いて行った。
 パチリ、と二回目の瞬きをしながら持ち上げた瞼の先にいる彼を見据えれば、特別格別、その肩は震えてはいないし握られた拳は何かを破壊しようとする動きもない。
 泣き声はおろか、押し殺している様な音さえも何もないのに、彼が泣いている様な気持ちになるのはなぜだろう、と吉良瞳子の心の表面にフワリ、と浮かび上がったそれに首を捻りそうになった。
 でも、まずは風邪を回避するところからかしら、と一応はお日さま園の責任者である感想と感情と感慨とで持って、年下である体躯を背にして放ってしまっては、スタスタスタ、と玄関と繋がっている廊下を進んでその先の室内に足を踏み入れる。
 バスタオルを一枚右手にして、トン、と再度お日さま園の玄関へと戻って来れば、漆黒の波の如くの髪がこれっぽっちも変わらずに頭を下げたままので、あら、とこの胸中には苦笑と共に何とはなしに頬が綻ぶみたいだ。
 律儀な上に几帳面そうだわ、と真っ直ぐな心根と心境で持って漆黒の波を見詰めたのなら、ポツリ、と世界と日本と宇宙と稲妻町とに自由落下する水滴が、カラリ、と乾く事もなく描いた円が段々と歪んで行く気分になった。
 このままじゃあ、駄目なんだわ、と漠然とした意識と意図とで彼を見返してしまえば、ポタポタ、とお日さま園の玄関を濡らして行くそれが雨ばかりだとは思えなくなった。
 何とかの一つ覚えみたいに頭を垂れ続けている彼の手前にストン、と座り込んでから、ポン、とバスタオルをその頭部に乗せて見る。
 すると、ギクリ、と一瞬だけ躊躇したらしい右肩がどうにもこうにも強張って何かの音を発するのかと思わせたけれど、彼は変わらずに沈黙を保った。
 そう、と彼をジッ、と穴が空きそうに見据えてしまって、グシャグシャグシャ、とバスタオルでその漆黒の波をかき混ぜてしまったら、ああ、そうだったわ、と吉良瞳子は。

 うん、半年前もそんな赤い瞳で私を睨んでいたじゃない、と元宇宙人の所行を邂逅するのだ。

 ***

「ええと、デザーム君?」
「い、いえ、砂木沼です」
「…………」
「…………」
「あら」
「その名前はもう捨てました、一般的な漢字の砂に木に沼を治める、と書いて、砂木沼治と言います」
「…………」
「…………」
「ああ、本名に砂の字が付くから、だからデザームだったの?」
「は、はあ」
「…………」
「…………」
「ふうん」
「あの」
「…………」
「…………」
「何かしら、ちゃんと拭かないと風邪をひくわよ」
「はあ、有難う御座います」
「…………」
「…………」
「生真面目で」
「はい?」
「…………」
「…………」
「几帳面で」
「はい」
「…………」
「…………」
「仏頂面、ではないわね、いつも楽しそうだったわ、宇宙人の時」
「はい?」
「…………」
「…………」
「後はそうねえ、時代錯誤、かしら」
「はい!?」
「…………」
「…………」
 私を強くして欲しい、だなんて、今時これっぽっちも耳にしないわよね、とクスリ、と頬が持ち上がりそうになってしまったら、そんな吉良瞳子の仕草を勘違いをしたのか、キッ、と彼が私を睨む。
 あの、誓って真面目な話をしていまして、誓って真面目にお願いしています、とそれはそれは厳しい声音で宣言をした彼に、そんなに何度も誓ってしまったら、いざと言う時にどうするのかしら、星への祈りが効かなくなってしまったら困らないのかしら、とほとほと不可思議になった。
 とんでもなく真っ直ぐな瞳が真っ赤に燃え上がる様で、ああ、彼のその中身だけが既に真夏のそれみたいだ、と私は随分と安直な感触を持つ。
 まだ、稲妻町は春なのに、と心底の摩訶不思議を抱えてしまったら、エイリア学園を倒したイナズマキャラバンを率いていた貴女であるから、願っています、と酷く淡々と言葉にする彼に、パチリ、と私は瞬きをした。
 ギリ、とこの身を睨み据えている彼が、どうやら無性に悔しそうな瞳を称えているので、ああ、恐ろしくも負けず嫌いなんだわ、と私は元宇宙人の姿を知る。
 勝ちたいと言う、とてつもなく真っ直ぐで真摯な希求、と思考回路で彼の想いを繰り返してしまったら、チカリ、と私の瞼の裏と心の表面で、それは綺麗にたゆたうみたいだ。

「本当に、強くなって彼らを倒したいの?」
「はい」
「…………」
「…………」
「強化選手のメンバーにも、さっぱりときっぱりと呼ばれていないのに?」
「無念ですが」
「…………」
「…………」
「そう」
「はい」
「…………」
「…………」
「ねえ、本音はどっちなのかしら」
「本音とは?」
「…………」
「…………」
「強くなりたいのと、自分を強化選手の枠にも入れなかったチームを倒したいのと、どっちなのかしら」
「ああ、成程、貴女は難しい事を訊きますね」
「…………」
「…………」
「そうかしら」
「はい」
「…………」
「…………」
「それで、答えは?」
「等号です」
「…………」
「…………」
 彼の科白にパチリ、と瞬きをしてしまったら、勿論強くなりたいのが大前提であるのですが、その実力を試す為に、確認をする為に、己を知る為に、私はイナズマジャパンと闘い、そして勝利したいのだと思います、と実直そうな声音が私の鼓膜を叩いて、彼の背後ではバラバラバラ、と大粒の雨だって散る。
 何だか、ついぞ先刻とは偉く異なって、彼を賞賛して拍手の一つでもしている様に感じられる雨音を耳にする私は、そう、と極々自然に当然の如くに、頬が綻ぶみたいだ。
 貴方は賢いのね、良く分かったわ、と声にしてから、ヒラリ、と右手を差し出そうとした刹那に、スタン、と片膝で跪いて、感謝します、と端的に告白されてしまった。
 時代錯誤じゃあなくて、武士か騎士なのかしら、と宇宙に向かって飛び出してしまいそうな摩訶不思議を抱き締めては彼を見下ろせば、私の右手に気付いた彼が慌てて起き上がって。

 宜しくお願いします、瞳子監督、と熱い掌でギュウ、とその指先と掌を握り締めるのだ。

(ああ、そうね、キーパーもするのだもの、大きいのよね、とその掌に想った)


~以下、「Nの法則~宇宙イチまでひとっ飛び!~」に続く~




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