ハニー★カム:日誌

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「テレパシーガイッパイ~ルート・ベクトル・近未来~」

治瞳本12の方が先に刷り上がってきましたよ!

テレパシーガイッパイ

■「テレパシーガイッパイ~ルート・ベクトル・近未来~」
A5/52P/表紙フルカラー/本文モノクロ/
表紙イラスト:【MATHEMATICA】西野ムギ様(【ハニー★カム】ファーストページよりどうぞ)

■エイリア時代のデザーム様と瞳子監督の話。

■本文サンプルは、続きよりどうぞ。







【威風堂々ガーネット】~「テレパシーガイッパイ」1話より~

 叩いて開いて、煌めく貴石。
 奇蹟の路は、未知の虹。
 難関突破、次はそう。
 始まりの日は、陽光と化す。

 漆黒と白色を、そうでなければ、白色の代替で真紅をまとった体躯達に、吉良瞳子は息を飲んだ。

 どう言う事なの、と表面上は冷静を装っている私の鼓動はとんでもなく忙しなく音を鳴らしてばかりで、はあ、と深い息を短く付いた。
 ザアッ、と疾風とまるで宇宙の深淵からやって来たかの様な真っ暗闇が百二十ヤード掛ける八十ヤードを凌駕していそうなフィールドに落とされたので、唇を噛み締めては私は目を見開くのだ。
 漆黒と白色で完成している球体で持って、世界を征服しにやって来た地球外生命体だ、と可笑しな、いっそ信じられない程の装飾された宣言で世界と日本と宇宙と稲妻町に降り立った、モスグリーンとグレーを混ぜ合わせて二分割してしてしまったユニフォームに袖を通した背丈の低い子達は、既に、ものの見事に消滅してしまった。
 冗談でしょう、と目を見張ったままに目の前の視界に驚愕している私は、それでも、遠い星から襲来した、と自らを公言した十一人が吉良瞳子と青い屋根と車体をした中型バスに乗り込んだ十一人の、それこそ目の前で消え失せてしまうのを何回か目にしていたのだから、特別格別、この現象で事象で事柄を否定するつもりはない。
 ええ、そんなつもりはさらさらないわね、と可能な限りの勇気と呼ばれる感想で感情で感慨を振り絞る私は、別段、今日のこの日に限って視力の矯正を行っていない訳ではなかったのだ。
 ああ、コンタクトをしていないから、恐ろしい悪夢みたいな光景で景観が私の視界を席巻している、とでも表現したいものだわ、とグッ、と更に唇の端を引き締める私には、それはそれは鮮明に明瞭に、クリアな画像が網膜と水晶体とに伝達されている。
 残念ながら夢でも幻でもない、現実で事実で真実だ、とヒシヒシ、と内臓の全てで直感している私の中にも、何とはなしに、一体全体どう言うカラクリなのかしら、とそれはそれは真剣に真摯に塾考する吉良瞳子だって存在をした。
 科学的に、なかなかに有り得ないわ、とキッ、ととてつもなく厳しい目線で眼前の十一人と彼等が出現した結実を検証して判定して判断しようとしている私を、咎める唇は只の一人だってフィールド脇には佇まない。
 これが、地球から気が遠くなる程に離れている星の技術だとでも宣言をするつもりなのかしら、と可笑しな風体でカラリ、と酷く乾いているフィールドを踏み締めている白色のシューズを睨み付けた。

 バサリ、と漆黒と白色のユニフォームの首元では、その喉元を覆っている布地ははためかない。

 遠き星とやらでは何と表するのだか知らないけれど、現代ではサッカー、と呼ばれる球技のユニフォームを着ていると言うのに、どうしてマフラーをしているのかしら、と頬が引き釣りそうに漆黒の肩と背中とを睨んでしまったら、ユラリ、とそのうねりが波の様に動いたので、あら、違うんだわ、マフラーじゃあない、と吉良瞳子は一つを頷いた。
 スカイブルーで完成しているイエローの雷の印を付した車体に新たに乗り込んだ銀髪の彼も、その柔らかそうな布地を首に巻いているけれど、ああ、それとは違うのだ、と瞬きをした私はジッ、と彼を見詰めている。
 全く、何がどうなっているのかしら、と大層素っ頓狂な髪型の多い、自らを宇宙人だ、と発言する横顔に目線を投げれば、彼の髪がクルリ、とまとめられてその首と顎と頬とを飾っているのに気が付いた。
 良く分からないけれど、とてつもなく寒がりなのかしら、とそれこそ可笑しな思考回路で持って砂の名を朗々と読み上げた体躯の膝下が露わだったので、暑いのかしら寒いのかしら、地球外生命体とやらは自らの体温調節機能が劣化しているのかしら、とほとほと不思議になる。
 何度でも、疑問と質問と設問ばかりを脳内で繰り返してしまう私を余所に、ブラックのユニフォームにホワイトのラインを乗せたそれに袖を通している彼は、ニヤリ、と恐ろしくも不敵に笑んで見せた。
 何よ、怖くなんてないわよ、とギリ、とどうしてなのだか陥没している様な真っ黒な眼球を睨んでしまったら、吉良瞳子の視線に気付いているのか気付いてはいないのか、数ミリ余計に持ち上げられた口端が歪んだので、ギクリ、と私は息を飲みそうになる。
 あっと言う間に前言撤回をして、ちょっと怖いわ、とゴクリ、と喉の奥で不安そうな音が鳴ってしまったのなら、ユラリ、と開いてしまった上唇が更に笑みを作っているので、何よ、怖いなんて絶対に言いやしないわ、とこの胸中で決意を固めた。
 青い色の屋根と車体をした中型バスに乗り込んでいる十一人は、実の所大層度胸が満点で、売られた喧嘩も見事に買って見せる性格で性質の子もいたけれど、彼らは私よりも随分と年下であったので、年長者が泣き叫ぶ訳にも行きやしないのだ。
 青と黄色のユニフォームを身に付けた彼らは、吉良瞳子にそれを求めてはいないのだろう、とも私は理解していたけれど、多分にこれは単純で純粋な意地の様なものだった。
 怖くはないし、負けやしないわよ、とキッ、と顔を持ち上げた瞬間に、ブラックの眼球の中に燃えているオレンジ色を見付けた気がして、あれは、と私は三回目にして息を飲むのだ。

 ***

「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
 ブラックの深遠の中でたゆたっているのは今にも燃え上がりそうな炎で、それはユラリユラリ、と急速に旋回する風の中で、世界と日本と宇宙と稲妻町の青空の下に揺らめいた。
 直ぐ様、噴き出してしまいそう、とオレンジ色から段々と赤く炎の色を変えてしまいそうな勢いで変化して変遷をする彼の瞳に驚愕をして、その色が少しずつレッドに変えられて行くのを睨む。
 彼の意志と意図とで色が変えられるのかしら、とほとほと見当違いな謎を抱えたままにフィールド脇に佇んでいる吉良瞳子は、その赤い目にドキリ、と肺の傍にある内臓が音を立てているのを知った。
 トクントクン、と何度でも繰り返して規則正しく数を数えていた私の体内で、稀に速度を上げて、偶にゆったりと鳴り響く心臓の音に、私はとんでもない不可思議を抱えるのだ。
 あの色を知っている、と何とはなしに瞼の裏に閃いてしまったのなら、ひょっとして、会った事があるのかしら、と宇宙の果てまで届きそうな摩訶不思議がこの胸に舞い降りて来て、パチリ、と私は瞬きをした。

「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
 まさかね、(本当なのだかどうかは分からないけれど)、宇宙人だし、と途方もない謎がトクン、と私の鼓動を鳴らしているので、ああ、大層迷惑だわ、と誰にでもなく大仰に大袈裟に文句を付けたくなる。
 万が一にも彼らが遠き星とやらからやって来たのだとしたら、そうね、彼らにして見たら、吉良瞳子率いる青い屋根の中型バスで日本を縦横無尽に旅をしているメンバーだとて宇宙人だ、とムッ、としたままの胸中で思考した。
 ええと、遠き星外生命体、とでも言葉にすれば良いのかしら、とほとほと首を捻っては、この喉が唸り声さえも上げてしまいそうになったのなら、刹那、キラリ、と私が呼吸をしている肺の直ぐ傍で止まる事なくその身を燃焼させている内臓と体躯とが、まるで木霊する如くに頷くみたいだ。
 短所は長所で長所は短所である様に、裏を返してしまったのなら、その視点を変えてしまったのなら、そうだ、正義だって悪になり得るのだし、その逆もまた然りだ、と吉良瞳子は今思考しなくとも良さそうな事ばかりの分析数値を脳内で弾き出していた。

「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
 裏の裏を、とぼんやりとゆったりと自らの脳内を散策する様に何かを探している私は、ギロリ、とフィールドの反対側に目線を投げる真っ黒な目が真っ赤に変わって、彼の表情が変化するのを知る。
 宇宙の理に対してとんでもなく退屈そうに瞬きをした漆黒の光彩が、ギュウン、と縦型の高速回転をして真っ黒な球体がその掌にぶつかった瞬間にフワリ、とブラックのそれが真紅に変わるので、どう言う原理なのかしら、と何度でも私は不可思議を抱えた。
 特別格別、無理をしている様にも見えやしない体躯は、只々無言でその色を変えて見せて、世界と日本と宇宙と稲妻町とに存在をする。
 少しだけ、宝石みたいだ、と漠然とした可笑しな胸中を抱き締めたままに、レッドの煌めきから目を反らせなくなるのはなぜだろう、と心底宇宙の果てまで疑問符が踊った。
 キラリ、と自分自身の胸の中で光っている記憶に瞬きをする吉良瞳子は、あれは、誰だったろう、名前を何と言ったかしら、と大胆不敵な表情を凝視しては。

 ドキリ、と永遠を誓ってしまったかの如くに、踊り出しそうにこの鼓動が鳴ってしまうのだ。

(でも、私は知らない筈だわ、だって宇宙人だもの、ねえ)


~以下、テレパシーガイッパイに続く~





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